2013年09月28日

速水螺旋人『大砲とスタンプ(2)』

〈2013年漫画感想10冊目〉
速水螺旋人 大砲とスタンプ(2)


 共和国との戦争下にある大公国の兵站軍に所属するマルチナ・M・マヤコフスカヤ少尉の活躍を描くミリタリー法螺漫画。如何にも作者らしい諧謔に満ちた楽しい作品です。兵站という戦争の裏方が舞台というのにこんなに面白いのが素敵。戦争が題材だけに人死に描写は避けて通れないのですが,それを含めてどこかのんびりとした印象が漂うのが特徴的。事務仕事の達人であるマルチナと彼の上官であるキリール・K・キリュシキン,マルチナの同僚であるボスコやアーネチカと登場人物がみな魅力に溢れているのですよね。「責任問題ですよ!」が口癖のマルチナの堅物ぶりがたまらなく可愛いのですが,だんだんキリールら周囲の人物に感化されてきているのが面白い。また,SF小説執筆を趣味とする昼行燈キリールの意外な切れ者ぶりも格好いいです。尤も,一番好きなのはやはりアーネチカですけれどね。マルチナから文字を教えられて顔を輝かせる場面が非常に好みでありました。帝国軍のラドワンスカ大佐の胡乱な雰囲気もいいよなあ。また,独創性が光る秘密兵器が毎回登場するのも読みどころのひとつ。細かい設定が作者の趣味を窺わせます。楽しんで描いていることが伝わってきますね。マルチナを巡る恋の鞘当や不穏さを漂わせるスィナン・カライブラヒム憲兵中尉の登場など今後の展開も気になります。このままの雰囲気を保って楽しく読ませて欲しいと思います。
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posted by 森山 樹 at 09:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想