2014年01月18日

緑川ゆき『夏目友人帳(17)』

〈2014年漫画感想1冊目〉
緑川ゆき『夏目友人帳(17)』


 本篇3話と特別編が収録された『夏目友人帳』の第17巻。遂に10年目を迎えた記念すべき巻でもあります。本篇は第六十八話と第録六十九話は「いつかくる日」と題された前後篇。第七十話は掌編「遊戯の宴」。特別編「歪みなき世界」は名取さんと的場さんの出逢いを描いた作品となっています。いずれもいつもどおりに静かで心に染み入る物語ばかり。特に人間と妖怪の恋を描いた「いつかくる日」の美しさは素晴らしい。人間である香と妖怪である葵のふたりの関係が微笑ましくも切ないです。敢えて共に行く道を選んだふたりが幸せであることを祈らずにはいられません。或いは別れのその時が来たとしても,このふたりならば悔いることなく笑いあえるのではないかなあと思います。ニャンコ先生と葵のやり取りも楽しかったです。いつかまた,葵と香には登場して欲しいものです。「遊戯の宴」は妖怪の遊びに夏目が巻き込まれるお話。犬の会の面々が登場すると和みます。何処か寂しげな遊蔓の感慨が心に残ります。「歪みなき世界」は名取さんと的場さんの共闘が素直に格好いい。名取さんからすれば道を違えたつもりでも的場さんからすれば同じ道を行く連れという思いがあるのではないかなあ。いずれにせよ,このふたりは夏目が今後の行く末を図る上での大きな指針となる人物でありましょう。個人的には的場さんも決して嫌いではないのですよね。妖怪を憎む彼の心情の痛々しさも理解できますので。此処まで続くとは思っていなかった作品です。どんどん終わり方が難しくなってくるような気もしますが,それはまあ読者の考えることではありますまい。今後も安定した面白さと切なさを楽しませてくれることを期待します。
タグ:緑川ゆき
posted by 森山 樹 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

月刊@バンチ2014年2月号



〈海のクレイドル〉
 トニーの危機を救うことでモニカ,エヴァン,ルイスの三人は無事に巨大船レディ・オブ・ザ・シーへの乗船が認められることになりました。これからが本当の航海の始まりでしょう。但し,レディ・オブ・ザ・シーのエンジンに彫られた“クレイドル”という言葉,或いはモニカの子守唄など謎は多いです。これから先の展開が楽しみですね。

〈軍靴のバルツァー〉
 国際会議の場に突如姿を見せたヴァイセン国王の思惑が面白い。この国際会議の行く末を大きく左右しそうであります。一方でバルツァーは領事館職員殺害事件の真相を追う最中で囚われの身に。鍵を握るのはバルツァーの動向を知るユルゲンかなあ。危険な雰囲気が漂う領事館での宴に一波乱が予感されます。

〈片桐くん家に猫がいる〉
 これまで全く読んでいなかったのだけど意外に好みかもと思いました。というか,加藤さんが可愛すぎます。次号から続篇の『猫とふたりの鎌倉手帖』が始まるようですので読んでみようかなと思います。既刊7巻を購入するのはちょっと辛いけれどなあ。

〈ウロボロス〉
 漸くイクオと美月,那智が合流。また,蝶野警部から竜哉の生存が明言されたのも大きい。この蝶野の思惑はまだ謎のままですが。一方で公安の赤鼻も生き残った模様。厄介な存在であります。そして,イクオたちが目にしたのは銃撃された日比野監察官の姿。まだまだ不穏な展開が続きますね。

〈応天の門〉
 最初の物語はこれにて完結かな。在原業平と菅原道真の出逢いが過不足なく語られたように思います。藤原親嗣に対して道真の仕掛けた陥穽が実に素晴らしい。溜飲を下げることが出来ます。昭姫もいい味を出していて好み。今後も活躍してほしいものであります。

〈生き神のファティマ〉
 囚われのウターリドの前に姿を見せたエイリーク。ファティマを奪い返すためにふたりの共闘が始まります。セイフもエイリークも格好いいよね。次号で最終回とのこと。如何なる帰結を迎えるのか楽しみではあります。物足りなさも感じるけれどなあ。

〈エリア51〉
 第二次蛇の動乱は終結。キシローが再びマッコイのもとに帰ってくるということで物語は新展開かな。オーディン亡き後の北欧神話軍を統べるのはブリュンヒルデになるのかしら。そして,遂に明かされたマッコイの悲しい過去。切断されたマッコイに草薙の剣を与えることで繋ぎとめた謎の男の正体が気になります。真の黒幕という可能性も無きにしも非ずかなあ。
posted by 森山 樹 at 13:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑誌感想