2014年05月25日

冬目景『イエスタディをうたって(10)』

〈2014年漫画感想12冊目〉
冬目景『イエスタディをうたって(10)』


 交錯する想いがもどかしくて切ない『イエスタディをうたって』の記念すべき第10巻です。連載開始から15年が経過して,漸く終わりが見えてきたかなあという印象。とは言え,人間関係の混迷に対する打開の糸口を見出すことがまだ出来かねているのですけれど。何とかそれなりに幸せな結末に帰結して欲しいものです。陸生と榀子の関係がその鍵を握っているのでしょうけれども。個人的には晴を応援しているので陸生に想いが届いて欲しいと願います。雨宮も悪い人間じゃないんだけど,その観点からお邪魔虫に見えてしまうのですよね。みもりと結ばれれば,此方は此方で丸く収まるのだけどなあ。杏子さんや楼子,莉緒さんといった脇を固める人物は相変わらず魅力的。特に楼子や莉緒といったさばけた女性に惹かれるものを感じます。浪と莉緒の同棲を陸生が知ったことが今後の物語を如何なる方向へ進ませるのかは興味があります。また,陸生への想いと雨宮からの想いの狭間で困惑して,ふたりの前から姿を消した晴がいつ戻って来るのかも重要な出来事となりそう。今巻最後での浪と榀子,陸生と榀子の会話に決別の香りを感じるのは気のせいかなあ。互いを思い遣るが上での優柔不断が誰も幸せにしない現状を招いているように感じます。恋愛には或る種の利己主義は必要なのでありましょう。陸生と雨宮から一旦離れることで気持ちに整理をつけようとする晴の結論が物語を帰結に至らしめることになりそうです。誰もが幸せになれる結末を望んでやみません。なお,巻末で10巻到達を記念して踊る晴が素敵に可愛かったです。この笑顔を再び本篇で取り戻して欲しいなあ。
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posted by 森山 樹 at 11:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想