2014年06月29日

大久保圭『アルテ(1)』

〈2014年漫画感想14冊目〉
大久保圭『アルテ(1)』


 16世紀フィレンツェを舞台とした作品です。主人公は貴族の娘ながら,画家工房への弟子入りを志す15歳の少女アルテ。女性の地位が高くなかった時代に,自分の夢の為にあえて困難な道を行くことを選んだ少女の姿が描かれます。意外に芯の強さを見せるアルテの姿が魅力的。世間知らずな部分は少なからずありますが,それでもなお自分の信じる道を行こうとする強さが素敵です。そのアルテを弟子として迎え入れた工房の主レオも非常に心惹かれる人物。そのレオの顧客である高級娼婦のヴェロニカを含めて,アルテを囲む人物が印象的であります。アルテと対立し,結果的にはほぼ絶縁状態となってしまったアルテの母の想いも痛いほど分かるのですよね。いつか,ふたりが和解することを望んでやみません。物語はアルテの画家修業が中心となりますが,後半からはレオへの淡い恋が主題となりつつあるのがちょっと気がかり。物語の展開も早いので,やや拙速さを感じてしまいます。個人的にはレオへの恋を意識するのはもうちょっと後でも良かったのではないかなあという印象。それよりも16世紀の画家見習いの生活を描いて欲しいものであります。今巻の末にヴェロニカに連れられたアルテは華やかなフィレンツェの暗部に直面することになります。この経験が如何に彼女に影響を及ぼすのが気になるところ。人生の先輩としてアルテを導くことになるのであろうヴェロニカの真意も楽しみ。今後,如何なる運命がアルテの先に待ち構えているのか期待したいと思います。世界史趣味者としては歴史上の人物や出来事も物語に絡めて欲しいものでありますね。
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posted by 森山 樹 at 11:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想