2008年05月14日

樹なつみ『ヴァムピール(1)』

ヴァムピール 1 (1) (アフタヌーンKC)
ヴァムピール(1)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 590
  • 発売日: 2008/04/23

 『OZ』『獣王星』の樹なつみの新作漫画。掲載誌は『暁の息子』に続いてのアフタヌーン誌となっています。樹なつみの作品を読むのは『八雲立つ』以来。『獣王星』『八雲立つ』と微妙な結末を迎えた作品が続いただけに不安はありますが,それでも好きな漫画家ではありますので期待しています。

 吸血鬼,というよりも不死者を題材にした樹なつみの新作。第1巻ではEPISODE 1とEPISODE 0が収録されています。EPISODE 0は先行で読み切りとして発表されたものですが,単なる外伝ではなく密接に物語に影響を及ぼしそう。まさに前日譚といえます。このEPISODE 0の主人公である笛吹は未だ本編に姿を見せてはいませんが,巻末の次巻予告によれば第2巻では登場するとのこと。如何なる形で本編に関わってくるのかを楽しみにしています。
 不慮の事故で死んだ人間が不思議な力を授かるという設定は類型的だけれども,そこに不死者を絡めるのが面白い。ヴァムピールと呼ばれる存在に憑かれることで,その身は半分が死者の領域のものとなります。少女の自殺に巻き込まれた水沫伶はその日から霊の姿を見,声が聞こえるようになってしまいます。そして,北杜笙と名乗る少女の出現で平凡な生活は崩壊していきます。この徐々に日常に非日常が侵食する様と伶を巻き添えに自殺した少女の物語が描かれるのがEPISODE 1。一応の救いはあるものの,個人的には苦手な部類なのが読んでいて辛い。こういった負の側面を描くことが多い作家だけに覚悟はしていたのだけれど,だからと言って慣れるわけではありません。苦過ぎるなあ。自分の運命を受け入れてはいないと伶に告げる笙の哀しげな微笑みも印象的。これから先も鬱な展開が続くのでしょうね。読むのが少しばかり怖くなります。
 何はともあれ,物語の始まりとしては十分な出来といえます。どのような展開が待っているのかは予想出来ませんが,個人的にはあまり精神的に負担がかからない物語を望みたいところ。変に風呂敷を広げ過ぎるとまとめきれなかった前科があるのも怖い。ただ,今のところは面白いのでこのままの調子を保って欲しいです。相変わらず絵は上手なんだよな。笙は結構好みです。いかにも樹なつみが描きそうな美少女といった感じが素敵です。
posted by 森山 樹 at 20:42| Comment(1) | TrackBack(0) | 感想
この記事へのコメント
獣王星はヒロインの女の子が死んじゃって
一応救いのある結末でしたが。
八雲立つの方は、闇巳が奇跡的に助かった
と言う結末の方が良かったですね。
前世の記憶持ったままの転生なんて、嵩等夫婦が
転生した闇巳も不幸です。
ヴァムピールの方もハッピーエンドになって欲しい
けど。伶には、男爵を倒して元の体になってほしい
笙の方は覚悟はしてますけど

Posted by アニス at 2013年01月03日 00:00
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