2009年08月11日

和月伸宏『エンバーミング(3)』

〈2009年感想32冊目〉
エンバーミング 3―THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN (ジャンプコミックス)
エンバーミング(3)
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 460
  • 発売日: 2009/08/04

 先月に引き続き刊行される『エンバーミング』の第三巻。表紙はビッグ・ベンを背にしたアシュヒト・リヒター。素直に格好いいです。
 そして舞台はいよいよ倫敦へ。ヴィクトリア朝末期を彩る人物たちが登場するのが嬉しい。やはり,この混迷の時代は自分を引きつけて止みません。

 今回は新章「DEADBODIES in LONDON」の1から6までを収録。Dr.リヒター製究極の機能特化型人造人間8体のうち,タイガーリリィにスカベンジャー,そしてリッパー=ホッパーと3体までが新たに姿を見せています。既に登場のエルムとジョン・ドゥを加えれば半数以上が物語の舞台に上がったことになり,これは結構速い展開と言えるのではないでしょうか。もっとも,ジョン・ドゥが究極の8体の1体であると明言されたわけではないので,これはあくまでも想像に過ぎませんけれども。また,舞台が倫敦へ移ったこともあり人造人間以外の新たな登場人物も多数お目見えしています。中でもマイク=ロフトとその弟はその筋の人間としてはやはり嬉しい。また,切裂きジャックが登場ということで登場のフレデリック・アバーラインもなかなかいい味を出しています。喜劇調の真面目人間は見ていて楽しいです。そして,物語の大きな鍵を握るエーデル=ヴァイオレット=ケリーもヒューリーの前に姿を見せました。やさぐれ系美少女でかなり好み。エーデル=ワイス同様に幸薄そうな雰囲気がたまりません。
 今巻最大の出来事は倫敦に巣食う人造人間の組織“稲光の兄弟(ブリッツ・ブルーダー)”の存在が明らかになったことでしょう。伯爵と呼ばれる統率の姿は未だ謎のままですが,少なくともタイガーリリィにスカベンジャー,リッパー=ホッパーと究極の8体がうち3体までを擁することを鑑みると,その勢力はかなり強力なものです。ただし,リッパー=ホッパーは切裂きジャックとして暴走しており,その結束は決して一枚岩ではありません。個人的には参謀系軍人娘のタイガーリリィが非常にお気に入り。ただし,感覚機能特化型ということもあり,髪の毛の先から瞳球型感覚端末を生成する不気味な側面もあります。それでも,伯爵に褒められて顔を赤らめ動揺するなど年頃の娘さんらしい可愛らしさが魅力的です。やさぐれ系のピーベリーとヴァイオレット,軍人少女のタイガーリリィ,阿呆の娘エルムとそれぞれに性格はまるで違いますが,女性陣はお気に入りが多いですね。男性陣はそこまで魅力的と言える人物はいませんが,裏表のないヒューリーと裏表のあり過ぎるアシュヒトの対比は面白いところ。そういえば,今回はレイスの登場はありませんでした。ヒューリーの宿敵とも言える人物だけに早期の再登場を願いたいものです。
 次巻は愈々ヒューリーとリッパー=ホッパーとのイーストエンド地区での交戦から始まる筈。呼吸機能特化型故にその名のとおり斬って跳ぶリッパー=ホッパーに如何にヒューリーが立ち向かうのか期待しています。そして,真のエーデルことヴァイオレットのこれからも楽しみ。エーデルの代わりに幸せになって欲しいものです。勿論,エルムの微笑ましい阿呆の娘ぶりにも期待。あまりにも重い本編に笑みを添える欠かせない人物となりつつあります。
posted by 森山 樹 at 21:22| Comment(0) | TrackBack(1) | 感想
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/31233360
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック

『エンバーミング−THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN−・3』の感想
Excerpt: 『エンバーミング−THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN−・3』和月伸宏集英社ジャンプコミックス2009年7月8日第1刷発行/¥438+税『私はエーデルじゃない 私は…泥ひば..
Weblog: 空夢ノート
Tracked: 2009-08-19 19:48