2011年12月04日

村山慶『セントールの悩み(1)』

〈2011年感想30冊目〉

 ケンタウロス女子高生・姫乃の平凡な日常を描く漫画の第1巻。現在休刊中のCOMICリュウ誌で連載されています。ちなみに作者のデビュー作でもあります。基本的には緩い日常系の漫画ですが,登場人物が全て獣人というのが特徴的。この世界観を楽しむ作品であると言えるでしょう。絵柄もかなり自分好みなので,今後の活躍を大いに期待したい作品です。

 獣人ばかりが暮らす世界が描かれる漫画です。現在のところは人馬,翼人,竜人,角人,長耳人といったあたりが登場していますが,他にも南極には蛇人が,ジャングルには両生類人が,或いは人魚も住んでいる模様。猫や犬を基にした獣人も出てきそうかなあ。ちなみに舞台となるのは現代日本と殆ど変わらない世界で,表紙下の設定からよれば茨城県つくば市に相当する場所に存在する陽立県彼方市。まあ,このあたりの設定は現段階ではそれ程物語に影響を及ぼしてはいません。面白いのは獣人間での差別がかなり厳格に規制されているということ。違反した場合は形態差別で思想矯正所行きもあり得ると言うから恐ろしい。また,蛇人というのは蔑称の為に南極人と呼ばねばならぬのだそうです。このあたりの設定は与太にしてもよく出来ているなあと感心します。あくまでも語られるのは人馬の姫乃の日常的な生活なので,今後これらの世界観が何処まで語られるのかは分かりませんが。個人的には設定好きなので,ある程度は詳細な世界設定を知りたいところではあります。ちなみにこの世界での日本における人馬は武士だったけれど,騎獣として扱われていた地域もあったとのこと。姫乃の母の言によると全ての人間の祖先はアフリカの猿とのことですが,進化の過程はどうなっているのかなあ。謎が深まります。南極蛇人は明らかに猿の要素がないのですが,あれは人間には含まないのかしら。

 収録されているのは第0話から第4話まで。第0話はCOMICリュウ主催の龍神賞の応募作で,それ以降が連載作品となっています。その第0話は獣人女子高生が互いの性器を見せ合いっこするというかなり倒錯的な内容。掲載された時に唖然とした覚えがありますが,このとき既にある程度の世界観が確立されていたというのが素晴らしい。姫乃の他に彼女の友達である角人の羌子や竜人の希も登場しています。特に竜人の希は作中で最も好きな娘さんのひとり。第1話の学芸会のお話で姫乃に接吻されて顔を赤らめる場面が実に可愛い。第0話では性に積極的な印象がありましたが,その実はかなり純な性格の持ち主のようです。演劇で男装した姿も魅力的。第3話の使用人衣裳も良かったなあ。補習対象に上がっていることを見ると成績は良くないようですけれど。もうひとりの羌子は羊状の角をした娘さん。運動が苦手な他は普通の女子高生といった感じです。彼女が中心となるお話も読みたいところ。主人公の姫乃は名前の通りに姫気質。おっとりとして恥ずかしがり屋というのが可愛い。第4話での流鏑馬姿の凛とした表情も魅力的です。雑誌モデルでのお嬢様な格好もよく似合っています。他では翼人で委員長の真奈見が大のお気に入り。ちなみに翼人は頭上に輪があることから天使である模様。如何にも学級委員というしっかりした立ち振る舞いが素敵です。尤も,実際のところは姫乃の母親が一番好みだったりするのですけれど。学生時代の眼鏡姿が最高ですね。是非とも若い頃のお話も読みたいものです。

 物語としては特に内容があるわけではないのですが,雰囲気というか世界観だけで存分に楽しむことが出来ます。所謂,萌え漫画にはそれ程興味がない自分ですが,登場人物が獣人というだけでこれ程までにこころ惹かれるとは思いませんでした。自分に眠るある種の性倒錯を感じさせます。まあ,性的なお話は現段階では第0話だけですし,個人的にはそれ以外のお話の方が好みなのですけれどね。世界観は大変にお気に入りなので,後は飽きさせないような物語を期待したいと思います。このまま単なる萌え漫画として終わるには惜しい作品です。
タグ:村山慶
posted by 森山 樹 at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想
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