2013年10月17日

荒川三喜夫『ピアノのムシ(1)』

〈2013年漫画感想15冊目〉
荒川三喜夫『ピアノのムシ(1)』


 依頼人からの評判は最低でも調律の腕前は最高というピアノ調律師の活躍を描く作品です。ピアノ調律師というのは馴染みの薄い職業ではありますが,それでもなお十分に興味深い物語に仕上がっているのが素晴らしい。傲岸不遜で,しかしピアノ調律に対する想いは何処までも気高い主人公の蛭田はかなり魅力的。その性格の悪さは裏を返せば,ピアノ調律への想いの深さであると読みかえることも出来ます。その確かな技術力はガラクタになり下がったピアノを一級品として蘇らせることが出来る程。それはピアノへの深い愛情なしには為し得ないものでありましょう。蛭田が何故その卓越した技術を獲得できたのかは現段階では不明。或いはピアノへの真摯な想いが欠ける人間への嫌悪というか憎悪はその過去に隠されているのかもしれません。基本的には前後篇で一話完結という体裁を取っており,今巻ではChapter4までとChapter5の前篇が収録されています。中でもお気に入りはイースタインに取り憑かれた技術者の魂を蘇らせるChapter2。ピアノに対して真摯な想いを見せる人物に対しては正当な評価を下すというあたりが実に好みであります。ピアノ流通業者の鏡や新米調律師の星野小眞ら脇を固める人物もそれぞれ個性的であります。意外に女性キャラが可愛いのも魅力的。特にChapter4で登場した槇村姉妹は是非とも再登場を心待ちにします。Chapter5の主題となる幻のピアノの逸話も恐らく創作とは思いますが興味深い。是非ともこのままの面白さを持続して欲しいものであります。
posted by 森山 樹 at 20:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想
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