2013年10月27日

河下水希『てとくち(1)』

〈2013年漫画感想19冊目〉
河下水希『てとくち(1)』


 『いちご100%』で名前を馳せた河下水希の新作。江戸時代を舞台とした人情時代劇となっています。雰囲気的には至極好み。無口だが凄腕の女剣士と推理力に長けた口達者の少年の組み合わせが楽しいです。物語は便利屋として町の難題を解決していくふたりの姿が描かれます。このあたりは定型であるが故に安定したものを感じさせます。優麗な絵柄も相まって非常に好み。女剣士の理江と口達者な周助,即ち「手」と「口」が題名の由来となっています。特に奇矯な振舞いを見せることもありますが,美人の理江は特にお気に入り。表紙で傘をさした理江の姿は殊更心惹かれるものがあります。とりあえずは便利屋に持ち込まれる事件を解決することが物語の中心になって行きそうですが,主人公のふたりがそれぞれに背負う過去の事件がやがて姿を現しそう。実際に今巻に収録された第四話「護衛道中・前編」ではかつて周助の家族を惨殺した血煙の重蔵一味が登場しています。理江の父が陥れられた事件も裏は深いのでありましょう。或いはこのふたつの事件が結び付く可能性も多分に考えられます。周助の義父の大黒屋徳兵衛や同心の曽根勘右衛門,或いは理江と同じ長屋に住むおりんなど脇を固める人物もなかなかに魅力的。此処までは意外に正統派の人情時代活劇といった体を為しております。下手に奇を衒わずにこのままの雰囲気を保ったまま続いて欲しいものであります。
posted by 森山 樹 at 08:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想
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