2013年12月11日

久正人『エリア51(7)』

〈2013年漫画感想28冊目〉
久正人『エリア51(8)』


 十神会議の席上で突如オーディンがハデスを殺害したことに端を発する乱戦が描かれる『エリア51』の第8巻。何はともあれ,ゼウスと王子の株が最高潮に上昇。特に此処まで凡庸な存在でしかなかった王子が素晴らしい見せ場を作ってくれました。最初の蛇との対峙,そしてマッコイへの語りかけがあまりにも美しい。マッコイを侵食する絶望を希望に変える為,その身を投げ出す行為は崇高であると言っても過言ではないでしょう。それは決して自己犠牲ではなく,マッコイへの愛であったのであると思います。マッコイへ見せた最後の笑顔がたまらなく素敵でありました。一方のゼウスはハデスの依頼を果たす為に大活躍。最初の蛇の陥穽に嵌ったオーディンとの凄まじい一騎打ちが格好良かった。ハデスの残したサングラスの伏線がたまりません。この事態を引き起こした最初の蛇の正体と目的も明らかに。まあ,その名前から正体は自明であったのも確かではありますが。神への狂おしい愛を表す為に偽神と決めつけた異教の神々を抹殺する最初の蛇の姿は十字軍に重なって見えます。この乱戦が如何に終結するのか楽しみだけれども,失われた命は帰ってこないのだろうなあ。ゼウスと王子を支える斉天大聖もなかなかいい役どころであります。また,端役ではありますが,オーディンに従うヴァルハラの勇士として登場のエルヴィン・ケーニッヒの戦い方が実に独創的。王子との死闘は見応えがありました。マースデンやソニア,ケイローンといった仲間の力を借りて戦う王子と仲間を武器として扱うエルヴィン・ケーニッヒとの対照的な戦い方が見物であります。なお,ヴァルハラの勇士の中に『キン肉マン』のロビンマスクがいたのは御愛嬌でありましょう。物語の終幕を予感させながらも,なお物語が如何なる展開を迎えるのか全く予想できません。マッコイと同じ顔をした女性がその鍵を握るのは確かかと思われますけれども。「依頼は」「果たすさ」。この最終頁の台詞が実に格好いい巻でありました。たまらないなあ。
タグ:久正人
posted by 森山 樹 at 16:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想
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