2013年09月25日

高尾じんぐ『くーねるまるた(2)』

〈2013年漫画感想9冊目〉
高尾じんぐ くーねるまるた(2)


 日本で暮らすポルトガル人留学生マルタの楽しい日常を描く漫画の第2巻。相変わらず,貧乏だけれども創意工夫して幸せな生活を送るマルタが可愛らしい。食いしん坊なので必然的に食べ物のお話が中心となるのですが実に美味しそうに食べるのですよね。その姿を見ているだけで頬が綻ぶものを感じてしまいます。由利絵さんに美緒子さん,それに今巻から登場の美術大学合格を目指す女医の神永さんとマルタの友人たちもいずれも魅力的。特に個人的に神永さんが非常に好みであります。古道具屋の国枝さんもまた再登場して欲しいですね。一話完結という構成を取っていますので根底を流れる物語はないのですけれど,マルタの何気ない一日を見ているだけで楽しくなれる稀有な作品であります。ちなみに今巻に登場する料理の中で一番気になったのはアジの干物の炊き込みご飯でした。簡単に作れそうなので今度挑戦してみたいもの。ドングリを埋め込んだイベリコ豚風豚肉ソテーやシーチキンおにぎりを活用したポルトガル風シーフードリゾットのアロス・デ・アトゥンにも心惹かれてしまいます。何はともあれ,実に自分好みののんびりした作品であります。児童文学にまつわる逸話が織り込まれるのも素敵。日本を愛するポルトガル人留学生の貧しくも幸せな日々をずっと見守って行きたいものであります。
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2013年09月23日

春河35『文豪ストレイドッグス(2)』

〈2013年漫画感想8冊目〉
春河35 文豪ストレイドッグス(2)


 文学史上に燦然と輝く文豪たちによる異能力戦闘アクション漫画。迂闊に歴史に名前を残すととんでもない扱いを受けるということが良く分かります。何しろ,中島敦はその能力「月下獣」によって虎に変身し,太宰治は他の能力を無効化する「人間失格」を駆使し,国木田独歩は「独歩吟客」により手帳に書いたものを具現化し,現段階では彼らに敵対する芥川龍之介は外套を全てを切り裂く黒獣と化す「羅生門」を操るのですから,只事ではありません。とは言え,この悪辣な設定が実に楽しい作品に仕上がっております。自分のお気に入りはあらゆる外傷を治癒する代わりに一度は瀕死の状態に追い込まないといけない「君死給勿」を使う与謝野晶子。或いは実際のところは異能力ではないにも関わらず常人離れした推理力「超推理」を駆使する江戸川乱歩でしょうか。芥川龍之介の配下である樋口一葉も好みなのだけれど現段階では能力は未知数。酷い目に遭っている印象しかありません。また,泉鏡花が可憐な少女というのもやや疑問。尤も,女装しているだけかもしれませんけれども。最新巻である2巻末では太宰治が芥川龍之介によって捕らわれたところまで。福沢諭吉率いる武装探偵社と芥川龍之介が所属するポートマフィアとの戦いは更に苛烈になるでしょう。未だに能力の発動がない宮沢賢治や福沢諭吉らも楽しみですし,今後如何なる文豪が参戦するのか期待したいところであります。「檸檬爆弾」を使う爆弾魔の梶井基次郎など扱いが酷い人物も含めて外連味に溢れすぎており,実に好みです。
タグ:春河35
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2013年09月22日

長蔵ヒロコ『ルドルフ・ターキー(1)』

〈2013年漫画感想7冊目〉
長蔵ヒロコ ルドルフ・ターキー(1)


 1950年代アメリカを舞台とした悪漢アクション漫画です。主人公はゴンドランド市の次期市長候補ルドルフ・ターキー。総資産が数十億ドルを超える大富豪であり,傲岸不遜な自信家でもあります。彼を狙う犯罪者との戦いが物語の中心となっていきそう。富と権力を駆使した荒唐無稽な彼のやり方が非常に爽快であります。ある種の憧れを感じざるを得ません。偶に見せる孤独な表情も魅力的。彼の背景は未だ語られていませんが,祖父の資産を受け継いだことは確かでしょう。彼の家族が物語の要となることは想像に難くありません。彼を守る秘書はエグマリヌとモモコのふたり。華奢な女性ながら高い戦闘力を見せるモモコは実に魅力的。一見,大人しい印象のあるエグマリヌもルドルフの敵に対しては機関銃を乱射する凶悪性を発揮します。このふたりのルドルフへの絶対的な忠誠心が素敵です。また,ルドルフの旧友で刑事のペイル・パイソンとヴェルメリオ・ヴォルフもいい味を出しています。特にルドルフから性格最悪と評されるペイルの悪辣さが実に良い。今後の更なる活躍に期待したいものです。ルドルフが想いを寄せるラパン姐さんも所謂いい女。何と言うか,登場人物に魅力があり過ぎてたまらないものがあります。お世辞にも性格がいいとは言えない人たちばかりなのですけれどね。彼らの根底にあるものに惹かれるのでしょう。物語は明らかになったルドルフ暗殺計画が中心になる筈。性格は悪くとも心強い仲間たちとともに暴れるルドルフの痛快な活躍を期待したいと思います。
タグ:長蔵ヒロコ
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2013年09月21日

杉山小弥花『明治失業忍法帖(4)』

〈2013年漫画感想6冊目〉
杉山小弥花 明治失業忍法帖(4)


 明治時代初頭を舞台に大店の娘である菊乃と失職した元伊賀忍の清十郎との恋模様が描かれます。菊乃の世間知らずなじゃじゃ馬ぶりと清十郎の卑屈ながらも世慣れた雰囲気が絶妙にかみ合っていて非常に好み。明治という新時代の世相を物語に織り込みながら,最初は偽りであったふたりの関係が徐々に深まっていく様子が丁寧に語られます。突拍子もないことを言いだす菊乃に翻弄されながらも惹かれゆく清十郎が実に良い。最新である4巻末の自らの感情にとまどうふたりの姿が可愛いです。互いへの想いを自覚したふたりの変化が気になるところであります。また,菊乃に想いを寄せる元薩摩藩士の警官・槇や菊乃と同じ女学校に通う元会津藩出身の桃井さんなど脇を固める人物も魅力的。その出自から仇敵であった筈の槇と菊乃に妙な因縁が出来たのが楽しいです。ふたりが結ばれることは難しそうではありますけれども。また,政府転覆を目論む一派の桐生も再登場を期待したいもの。菊乃と清十郎,不器用なふたりが明治という激動の時代の中で確かな関係を育んでいく姿を今後も楽しみに見守りたいものです。まだまだ清十郎の隠す秘密或いは過去はありそうですけれども,幸せな結末へと辿りつくことを祈っています。勿論,槇や桃井さんたちの行く末も大いに気になるところです。
タグ:杉山小弥花
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2013年09月16日

久正人『ノブナガン(3)』

〈2013年漫画感想5冊目〉


 歴史上に名を残す傑物の遺伝子を武器に,進化侵略体と戦う人類の姿を描いたアクション漫画の第3巻。今巻はその全てがストーンフォレスト作戦に充てられています。参加者9名の特性を生かした作戦行動が素晴らしい。特にガンジーとニュートンの能力の使い方がたまりません。そして,この作戦名の付け方が非常に好み。重度の兵器オタ且つ特撮好きの小椋しおが立案した作戦故に説得力があります。作戦の要にM1A2エイブラムスの起用を嬉々として語る彼女の姿に微笑ましさを感じました。但し,戦闘そのものは苦境の連続。ガウディが建造した障壁内で戦う切り裂きジャック,ジェロニモ&スーホ,ジョン・ハンターはともかく,唯一人で戦艦型と戦う小椋しおことノブナガンは終始危機に陥っている印象があります。その最大の危機に駆けつける切り裂きジャックの姿が実に格好良い。更には彼が“モード・夜鳴鶯(ナイチンゲール)”と呼ぶ隠した力も発動させました。この能力はちょっと注目したいところ。或いは彼は切り裂きジャックとフローレンス・ナイチンゲール,ふたりの傑物の遺伝子保有者ということなのかもしれませんけれども。ジョン・ハンターの解剖分析能力の有効な活用も嬉しいところ。ストーンフォレスト作戦が完結する次巻が楽しみであります。ヴィドックが主人公の描き下ろし掌編や他の附録記事も楽しかったです。
タグ:久正人
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2013年06月16日

玉川重機『草子ブックガイド(2)』

〈2013年漫画感想4冊目〉

 モーニング誌で不定期連載されている読書体験漫画。と言っても,連載されていることは全く知らずに単行本を書店で見かけたのが出逢いでした。元々,この種の漫画は大好きなので,こういった出逢いは素直に嬉しいです。絵柄は独特ですが,個人的には趣があって割と好き。何よりも主人公である草子の瑞々しい感性が織り成す読書体験が実に魅力的であります。

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2013年03月26日

平野耕太『ドリフターズ(3)』

〈2013年漫画感想3冊目〉

 1年5か月ぶりに刊行された『ドリフターズ』の第3巻です。表紙は那須与一。立ち位置的には島津豊久,織田信長に次ぐ存在ですので,今巻での表紙は順当と言えば順当。問題は次巻以降の表紙の人選ですね。可能性が高いのは安倍晴明かなあ。スキピオ&ハンニバルという線も考えられるけれど。或いは廃棄物側から黒王というのも捨て難いです。何はともあれ,次巻はもうちょっと早く読みたいなあと思います。連載を追うのもひとつの方法だけどなあ。

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タグ:平野耕太
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2013年03月19日

高尾じんぐ『くーねるまるた(1)』

〈2013年漫画感想2冊目〉

 週刊ビッグコミックスピリッツで連載中の作品です。ふと目に留まって読み始めたのですが,これが大当たり。こういうことがあるから漫画雑誌を読むのは止められません。好きな作家の単行本だけを購入していると新しい出逢いはなかなか訪れないですからね。今後も積極的に様々な漫画雑誌を手に取ろうと思っています。まあ,あまり手を広げすぎると財政的に自分の首を絞めることにもなりかねませんけれど。

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2013年01月27日

久正人『ノブナガン(2)』

〈2013年漫画感想1冊目〉

 月刊アーススター誌で連載中の久正人の作品。久正人らしい外連味に溢れた素敵な作品であります。地球人類と宇宙から飛来した進化怪獣との激闘が描かれるのですが,地球人類の戦力が世界史上に名を残す偉人たちの遺伝子を受け継いだ超常能力者というのが面白い。先が全く読めない展開が実に楽しいです。やっぱり久正人の作品は自分の性に合いますね。

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2012年06月17日

手代木史織『聖闘士星矢THE LOST CANVAS冥王神話外伝(4)』

〈2012年感想7冊目〉

 蟹座の黄金聖闘士マニゴルドの活躍が描かれる『聖闘士星矢THE LOST CANVAS冥王神話外伝』の第4巻。今巻では魚座の黄金聖闘士アルバフィカの活躍が目立つのも嬉しい。彼が主人公を務めた第1巻は物語として小じんまりし過ぎていた感があるのですよね。また,車田正美の原作を丹念に拾う作者の作品への愛情も素敵なものがあります。

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2012年06月11日

手代木史織『聖闘士星矢THE LOST CANVAS冥王神話外伝(3)』

〈2012年感想6冊目〉

 前聖戦の黄金聖闘士たちの姿を描く『聖闘士星矢THE LOST CANVAS冥王神話外伝』の第3作目。今回は水瓶座の黄金聖闘士デジェルが主人公となります。本篇では海底のポセイドン神殿においてオリハルコンを獲得する活躍を見せた割には戦闘での見せ場が少なく不遇な印象があります。それを補うべく,今回は新たな技を見せるなど,それなりに活躍しています。

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2012年05月15日

羽海野チカ『三月のライオン(7)』

〈2012年感想5冊目〉

 天才高校生棋士とその周囲の人々を描いた作品。羽海野チカの作品を読むのは実は今作が初めて。『ハチミツとクローバー』の評判の良さも聞いてはいたのですが,あまり手を出す気にはならなかったのですよね。その狭量さを恥じるばかりです。名ばかりとは言え自分も高校時代は将棋部所属だったのが懐かしい。今後はきちんと連載も含めて追いかけようと思います。

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2012年04月15日

久正人『エリア51(2)』

〈2012年感想4冊目〉

 先日,最新の第3巻が発売になった『エリア51』の第2巻です。表紙はマッコイとポッツィ。マッコイの秘密が徐々に明かされ,物語が大きく動き始める巻となっています。そして,前作に引き続き古今東西の様々な異形をごった煮にした世界観が素敵。個人的にはクトゥルー神話ネタが随所に鏤められているのが大変お気に入りです。

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2012年04月11日

車田正美『聖闘士星矢NEXT DIMESION冥王神話(5)』

〈2012年感想3冊目〉

 前聖戦というよりも『聖闘士星矢』の続篇としての色彩が濃くなりつつある『聖闘士星矢NEXT DIMENSION冥王神話』の最新刊です。表紙はアンドロメダ座の瞬。何気に表紙は2回目なのですよね。優遇されている感があります。TV放映の始まった『聖闘士星矢Ω』との関連付けが行われるのか,ちょっと楽しみにしています。

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2012年03月11日

椎名高志『絶対可憐チルドレン(29)』

〈2012年感想2冊目〉

 連載の方では重大な局面を迎えている『絶対可憐チルドレン』の第29巻。いつの間にか,30巻を目前とする長篇漫画となっていました。それでも未だに終わりを予想することが出来ません。誰もが幸せになる結末であれば良いのですが。表紙は前巻に引き続き旧帝国陸軍特務超能部隊の面々。早乙女の表情が胡乱に過ぎます。先入観かもしれないけれど。

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2012年01月08日

緑川ゆき『夏目友人帳(13)』

〈2012年感想1冊目〉

 テレビアニメ第4期が始まった『夏目友人帳』の最新刊。結局,アニメ版は未だに観ておりません。関心がないわけでもないのだけれど,今更鑑賞するのもなあという感じです。まあ,第4期まで続くと言うことは評判がいいということですよね。原作の静謐な雰囲気を如何にアニメが再現しているのかは気になるところです。原作通りの展開なのかどうかは知らないけれども。

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2011年12月25日

那州雪絵『魔法使いの娘ニ非ズ(2)』

〈2011年感想35冊目〉

 『魔法使いの娘』に続く陰陽師不思議絵巻第2部『魔法使いの娘ニ非ズ』の第2巻。鈴の木無山やジュニアさんなど前作の重要人物の再登場が嬉しい。また,今巻に収録の話は東日本大震災後に描かれたものばかり。その為か,家族の絆を題材にしたものを多く感じます。それはあとがきからも窺え,あの震災が作家に及ぼした影響の強さに想いを馳せてしまいます。

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タグ:那州雪絵
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2011年12月18日

笠井スイ『ジゼル・アラン(2)』

〈2011年感想34冊目〉

 20世紀初頭の欧州風世界を舞台に何でも屋のジゼルが活躍する作品の第2巻。描きこまれた筆致の世界観が実に素敵。また,前巻では謎に包まれていたジゼルの素性が明らかにされました。現在の短髪姿も可愛いのですが,以前の長髪の時代も可愛いですね。表情が豊かなところも大変に好み。このままの雰囲気を是非とも保って欲しいと思います。

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タグ:笠井スイ
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2011年12月17日

椎名高志『絶対可憐チルドレン(28)』

〈2011年感想33冊目〉

 若き日の兵部京介と超能特務部隊の仲間たちが表紙を飾る『絶対可憐チルドレン』第28巻。今巻の表紙にいない不二子さんたちは次巻の表紙ということになるのでしょう。早乙女大尉は特別扱いになるかもしれないけれど。いずれにせよ,これまで明かされなかった兵部と不二子さんの過去が愈々明かされることになる重要な物語です。楽しみ。まあ,連載で読んでいるんだけど。

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2011年12月12日

手代木史織『聖闘士星矢THE LOST CANVAS冥王神話外伝(2)』

〈2011年感想32冊目〉
聖闘士星矢THE LOST CANVAS冥王神話(2)
 手代木史織版〈聖闘士星矢冥王神話〉の外伝の第2巻。今巻は蠍座の黄金聖闘士カルディアが主役を務めます。本篇では海皇ポセイドン神殿にて天猛星ワイバーンのラダマンティスと戦うだけの不遇な扱いでしたが,この外伝では女神アテナの化身サーシャを護って強大な敵と対峙する格好いい姿が堪能できます。本篇でこの働きを見たかったなあ。

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タグ:手代木史織
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